この写真は昭和二年に小原流二世家元小原光雲先生が生けられたものです。花器は舟形の盛花水盤です。現在の小原流で舟形水盤に生ける事は禁じてはいませんが、生けているのは見た事がありません😔
そこで古いいけばなの資料から解説してみます。
「出舟」
☆上座床下座床に拘らず、向かって左の方に船の舳を向け、右の方へ艫を向けて生ける也。
☆上座床、下座床に拘らず向かって左の方へ舳を向け、艫は右の方へ向けて生け即ち花の姿本勝手となる。
☆遠き渡海の體は花幽かに生け、船は高く釣。
☆近き渡海の體は花かすかに生くる事嫌ふ。船は低く釣り、座して中の水見えざる程に下げて生くる也。
「入舟」
☆是は上座床(本勝手床)、下座床(逆勝手床)共に向かって右の方へ船の舳を向け、左の方へ艫を向けて生くる也。
☆是は上座床、下座床共に舳及び艫を出舟の場合と反対に向け、即ち花の姿は逆勝手となる。
「泊舟」
☆是は置舟也(平太舟ともいう)
☆生け方、夜の體にていかにも物静かなる意を生くる也。
☆夜、港に停泊せる船の姿、即ち帆柱の如く副も體も張らさず真の花形に生ける。
☆水は簀ぶたの下計に入れ、あまりなみなみと入れぬ事。
この他にももう少し伝書には書かれておりますが重要な部分だけ挙げてみました
この教えから見ると光雲先生の花は舳が左に向いているので【出舟】ということになります。
いかにも小原流を率いて大海原に船出するようですね!